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2016年


明けましておめでとうございます。
昨年はお世話になりました。
本年もよろしくお願いします。


さてさて、今年もまったりゆったり更新になるかと思います。
まだ止めないぞ!と粘り腰でやっていきたいと思います。
そう、思います。


では、皆様、今年もよろしくお願いします。


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ひとつ前を忘れて、二つ前を忘れて、三つ前ぐらいを思い出す。
ゴミ箱に吸殻を捨て、巻き上がる埃と灰が舞う。
西日の強い日に部屋の中で、そんな光景をずっと見ている。
立ったまま、ずっと見ていた。

三つ前ぐらいを忘れて、二つ前を忘れて、ひとつ前を思い出す。
強い西日に照らされて部屋色が変わっていく。
一時間もすれば暗くなる部屋で、日が落ちるのを待っている。
煙草を吸ったまま、灰が足に落ちるまで。

穴の開いた障子戸から手を出してみる。
廊下の空気はすでに冷たい。
もうすぐ冬だなと思う時期に、大して掃除もしない部屋の床に座り。
穴の開いた障子戸から手を出している。

夕飯を呼ぶ声に、飲みかけの冷めた珈琲を飲み干す。
苦いなと不味いなで顔をしかめて、よいしょと掛け声かけて立ち上がる。
暗くなった部屋に電気を灯し、カーテンを閉めながら階下へ降りる。
少し好きな夕飯の匂いが、ちょっとだけ何処かを温めてくれたような気がした。






ようやく。という言葉を言えた日。

壊れた椅子からパイプ椅子に変えてからずいぶん経っている。
ガムテープで縛り、椅子の足が取れないように、座って壊れないように。
そんな手間をかけて座っていたときから、会社から余った備品を譲ってもらい。
今、こうして腰を下ろしているのは、少しだけスポンジが見えている古いパイプ椅子。

狭い座る場所に、体を丸めるように立ち膝をしながら座っている。
時々バランスを崩しそうになって、ふらりと落ちてしまいそうになりながら。

そして、ようやくとまた呟いた。

忘れられないことというものは、何度も何度も勝手に思い出してしまう。
ふと目にした日差しでも、日々通う道でも、帰りの夕暮れでも、なにも見えない夜でも。
深いため息ばかりのこの時間、ふとした拍子に思い出したこと。
頻度は下がっても、思い返し続けた所為で古い写真のように色は濁っている。

今でも疼く胸の内に、情けなさと同時にそれでいいと思う。
吐き出す息の重さに打ち込む指が止まり、伝えたいなにかも薄れてしぼんでいく。

ようやくと言えたとしても、まだまだなにも変わらない。
ようやくと言えただけ、少しだけすっきりするだけ。
片膝立てた古いパイプ椅子が軋み、足を戻し、目を閉じて、腕を組む。

まだかぁと、また呟いた。






欠伸が止まらなくなるような、休日の昼。
夏を思わせるような風が吹いている。
けれど夏にはまだ届かない。
さらけ出している肌にあたるのは、柔らかさと少しの熱を感じる風。
六月の湿気がまだない中で、今日は珍しく快適な一日になりそうだった。

日差しが頂点に差し掛かる前、開け放たれた窓から窓へ風が抜けていく。
吸い始めた煙草の煙が右から左へとゆらゆらと流れ、左目に入って少し泣いた。

二か月前の黄砂で汚れた窓は、見事に白という色を窓に付けている。
窓から見える山から来る風に釣られて、左目を擦りながら景色を眺める。
ぼんやりとしたまま付けた煙草の灰を床に落とすまで、ただじっとよく晴れた、気持ちのいい日差しを眺め続けていた。

不意に目を閉じた。
見えてくるのは何時かの思い出。
こんないい天気の日だったろうかと、都合のいい自身の記憶変換機能が可笑しくてたまらない。

もうすぐかぁと呟いて、灰皿に煙草を押し付ける。
微かに残る煙草の煙が、右から左へと揺らめいていた。






暗い夜道を歩いている。
目を凝らしても街灯と街灯の隙間の暗さは変わらない。
なぜか選んだ革靴が、一つ一つ進むたびに音を響かせる。
遠く、道の先まで転がるように、革靴の足音だけが走っていく。

夜出かけようと思ったことには余り理由はなかった。
ただ単純に気分の問題。
無駄に決めた格好、無駄に整えた髪型には、自分の中だけの理由がある。
自分を置いていく靴音を追いかけて、ちょうど家から進み、突き当たる三叉路までの、ほんの少しの散歩。
ほんの少しの独りよがり。
締め付けるように痛むどこかを誤魔化すための。
ほんの少しの道行。

暖かくなったはずの日。けれど夜は少し肌寒い。
夜遊び中の少年たちが、笑い声と共に自転車で煙草を吸いながら通り過ぎていく。
20年以上前のかつての自分が其処に居て、20年以上も経ってからようやく過ぎて行った。

高い靴音だけが先へ先へと行く。
かすかに泡立つ肌、風が吹けば身をすくめる。
煙草を取出し、火をつけて。
陰ったままの空を見上げて、電信柱にぶつかりそうになる。

少しだけの格好もつけられないと可笑しくなってきて。
恥ずかしさを誤魔化しながら歩いていく。

やがて辿り着く三叉路にて。
高い靴音は止まってしまった。




 

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