子守唄

八月も、もう終わる

先週辺りまでに、気温も幾分下がり過ごしやすい日が続いている

夜、耳を傾けてみれば

いつまでも聞こえていた蝉達の合唱も途絶え

今は僅かな蟲達の声に替わっている

チチチと鳴く声

リーンリーンと響く声

それは静かに、穏やかな気持ちにさせてくれる




それは夏の終わりに聞く 

蟲達の子守唄





祭りの焼きソバとおでんが好き
煙草を口に咥えて、火を点ける。
その一連の動作は十年以上の年月を経て、瞬きと同じように特に意識をしない、
とても自然な動作となっている。

車のキーを回し、エンジンが低く響く音を立てる。
車内の灰皿を引き出し、二度、縁に先端を当て灰を落とす。
窓を僅かに開け、外へと煙を逃がしていく。

白い煙の塊が、まるで生き物のように外へと這っていく。
片目でそれを追いながら、アクセルを踏む右足に少しずつ力を入れていった。




――― 「 祭 」 ―――




何時も通りの道を、何時もと同じようにして走る。
金曜日の夜。
次の日になるまでには、後、一時間程の時刻。
二日連続での残業で、少しばかり体を重く感じている。


家の割と近くにあるコンビニで、珈琲と煙草を買う。
何時もと比べ、やけに混んでいるコンビニに、内心で首を傾けながらレジへと向かう。

レジもある程度込んでいる、二組前の客がレジでなにやら話し込んでいる。
時折、甲高い笑い声が聞こえてくる。
溜息を吐きつつ、前の客を改めて見直してみる。
浴衣姿の若い女性と髪を染め、夏向きの軽装をした男性の姿が見える。


……あぁ、そうか。
今日は、祭りだっけ……



今日は地元の夏祭り。
そんなのもあったなと、何処か遠い思考で思ってしまう。
騒がしいカップルが、カラ〇ゲ君はレッドがどうとか声を張り上げて去っていく。
わざわざ、周りに聞こえる声で話すのは、何か理由があるんだろうか?
とてもどうでもよく、また全く興味の湧かない事を考えながら、
開いたレジへと進んでいった。


ドアを閉め、買ってきた物を助手席へと放る。
缶コーヒーを備え付けの、ホルダーに差し込む。
赤いカ〇アゲ君の袋を破き、刺さっている爪楊枝の先の肉を一つ口に入れる。
辛目で濃い味付けは、珈琲とは合わない。


あのバカップルめ……


見当違いの八つ当たりをしながら、家に向かい車を発進させた。




街中の中心部。
この十字路を左折すれば、後は家まで直進するだけだ。
ハンドルを切り、四つ目の〇ラアゲ君を頬張る。
手にしたB〇SS印の珈琲を一口二口と飲み込んでいく。

ライトに映し出された路には、祭りの後の閑散とした状況が見て取れる。
まばらな人影、あちこちにある塵。
少し強めの風に吹かれ、捨てられた塵が右へ左へと舞っている。
ライトから逃げるように、夜の闇の中へ、路の脇へと消えていく。

路に擦れた際の掠れた音。
聞こえるはずのない音が、確かに聞こえていた。



祭りの中心地である神社。
そこを通り抜ければ、もう我が家が近い。

神社前の三叉路に近づいた時、未だに仕事中の誘導員に止められる。
大きな赤い旗、手にした誘導ランプ。
二、三回大きく振り、私は一時停止を余儀なくされた。

誘導員が此方に小走りで近づいて来る。
少し痩せた、年配の方のようだ。

窓を開ける。
開けた窓から入る風で、鳥肌が立ってくる。
小さく機械的な駆動音を耳にしながら、誘導員の方に会釈しながら話し掛けた。


「あーどうも、どうかしたんですか?」
「いえ、すみません。今日はこの先は通行止めなんです」


窓越しに話し掛けてきた、年配の誘導員。
フロントガラス越しに先を見てみれば、なにやら道路を完全に塞いでいる。
今までの祭りでは、この時間は通れていたと思ったのだが……


「ん?、この先に家があるんですが……」
「えーと、神社のすぐ先ですかね?」


早く通せとばかりに、自分の事情を言う。
本当はこの先の先ぐらいのなのだが、面倒なので答えておく。


「ええ、そうですけど……」
「大変、ご迷惑をお掛けしますが、右回りでお願いします」


右回り……家の車庫に入れるには結局右に回るのだが……
頭では別に構わないと思いながらも、何故だか素直に聞けない。


「……はぁ、えっとなんでまた」
「いや、今回は神輿を久しぶりに出す事になりまして」


誘導員の方に話を聞きながら、左目の視界に赤いランプが映っている。
クルクルと、赤い光が回転している。


「神輿?」
「ええ、そう言うわけで道路にいくつか置いてあるんですわ」


反射的な会話をしつつ、前方の道路を見る。
ライトに照らされた範囲には、工事用のバリケードしか映らない。
右手でライトをハイに変える。


「ああ、それで通れないと」
「そうなんです、本当は神社内に入れておけばいいのでしょうが……」


映し出された光景は、腰高ほどのバリケード。
その上にはみ出すような形で、神輿と思われる物が見えている。


「ああっと、分りました」
「ええ、では、ご迷惑でしょうがお願いいたします」


頭をすっと下げ、小走りに戻っていく誘導員。
赤い回転灯の光に目を細める。
その脇に立った誘導員からすぐに指示が来るものだと思っていたが、何故か指示は来ない。

軽く息を吐き出しながら、煙草に火を点ける。
灰皿を引き出しながら、右足は強くブレーキを踏み込んでいく。



煙草を中ほどまで吸い終る、時間にして二分ほどだろうか。
指示は未だに来ない。

――いい加減にしろ!

先ほどの会話からさらに二分。
もう待てないと車を発進させる。
すると、先ほどの誘導員とは違う誘導員が慌てた様子で此方を止める。

……なんなんだ!?

溜息と共に少しばかり苛付いてくる。


座席をある程度ねかせ、両手を頭の後ろに組み、後ろに軽く反る。
ライトに照らし出された光景は、数人の影を映している。
三叉路の右側から、警官が二人走ってくる。

なんだ?一体……

窓を再度開け、音楽のボリュームを下げる。


聞こえて来る声は、なにやら意味不明だ。
風の音が強い所為もあるが、大声で幾人かが叫んでいるようにも聞こえる。
ライトをハイに変えると同時に、灰皿に煙草を押し付ける。
座席を元に戻し、体を起す。

ハイにした所為で、何人かが此方に目を向ける。
警官の一人がすぐさま、右に回れと指示を出してくる。
なんだか理由が解らないまま、車を発進させた。


低速で車を進めながら三叉路を右へと曲がる。
その途中、曲がる直前に見えたものから判断すれば、
神輿か神社に悪戯か何かしようとした奴らがいたんだろう。

先ほどの年配の誘導員が、私に対して頭を下げている。
バックミラー越しにそれを見ながら、アクセルを踏み込んだ。





家までは後少し。
聞こえるはずのない、祭りの後の声。
何処かに置いて行かれたような寂しさを感じている。

捕まっていた数人を思い出し、鼻で笑う。

「そう言えば、俺も捕まったけなぁ……」

ふと、自分の過去を思い出し一人笑う。



車庫に車を入れ、エンジンを切る。
開けたままのシャッター。


肌に当たる風は冷たさを伴い、夏の終わりを感じさせた。





ちょっと思ったこと
就寝前に拍手を読み
就寝前にそこを見る

今日の気分は下向き
明日の気分は上向き

似たような気持ちかなと思い
似てるといいなと思い直す

少し重なると嬉しくて
少し外れると不安になる

そんな自分が此処にいる


……凹んでます……

皆さん、こんにちは。
昨日、私事で色々あって、精神的に参っているmkです。


なんだか、まぁ、しんどいです。
更新ペースが落ちる、かも、しれません。

と、言いながら上がる、かも、しれません。
ただ、ちょっと参ってるんです。


追記に、刺激を受けたので、載せてみました。
凹み具合とは、なんの関係もないのです。
しかし、凹んだために、載せることに少しばかり悩みました。
気持ちが下向きな時は、自分で書いたものが、こう、駄目に見えるというか……

……まぁ、アレコレ言っても愚痴になります。
なので、ドゾドゾ。


没にして物をあえて晒す、マ〇な思考の今現在

夏のイメージ

日に焼けて焦げる 白い肌は部分的に
色のつく夏を目にし そして見送った



夕立の後

乾かない風が吹く 物干し台に登って
乾かない風を受ける やがて風は止まる



線香花火

手にした花火 落ちる事を拒む
小さく赤い点は 落ちる事を拒む
辺りを薄く照らし 小さな赤い点は

いつかの消光のように思えた



大輪の花

夜空を彩る花 上がり落ちとけていく
夏を彩る花 日に向かい伸び枯れていく

それは何かを思わせる花



まぁ、没集。
所詮、没集。
だって、没集。
またネタが尽きてきた。

誰かクレクレ、ネタをクレ。

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