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欠伸が止まらなくなるような、休日の昼。
夏を思わせるような風が吹いている。
けれど夏にはまだ届かない。
さらけ出している肌にあたるのは、柔らかさと少しの熱を感じる風。
六月の湿気がまだない中で、今日は珍しく快適な一日になりそうだった。

日差しが頂点に差し掛かる前、開け放たれた窓から窓へ風が抜けていく。
吸い始めた煙草の煙が右から左へとゆらゆらと流れ、左目に入って少し泣いた。

二か月前の黄砂で汚れた窓は、見事に白という色を窓に付けている。
窓から見える山から来る風に釣られて、左目を擦りながら景色を眺める。
ぼんやりとしたまま付けた煙草の灰を床に落とすまで、ただじっとよく晴れた、気持ちのいい日差しを眺め続けていた。

不意に目を閉じた。
見えてくるのは何時かの思い出。
こんないい天気の日だったろうかと、都合のいい自身の記憶変換機能が可笑しくてたまらない。

もうすぐかぁと呟いて、灰皿に煙草を押し付ける。
微かに残る煙草の煙が、右から左へと揺らめいていた。



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暗い夜道を歩いている。
目を凝らしても街灯と街灯の隙間の暗さは変わらない。
なぜか選んだ革靴が、一つ一つ進むたびに音を響かせる。
遠く、道の先まで転がるように、革靴の足音だけが走っていく。

夜出かけようと思ったことには余り理由はなかった。
ただ単純に気分の問題。
無駄に決めた格好、無駄に整えた髪型には、自分の中だけの理由がある。
自分を置いていく靴音を追いかけて、ちょうど家から進み、突き当たる三叉路までの、ほんの少しの散歩。
ほんの少しの独りよがり。
締め付けるように痛むどこかを誤魔化すための。
ほんの少しの道行。

暖かくなったはずの日。けれど夜は少し肌寒い。
夜遊び中の少年たちが、笑い声と共に自転車で煙草を吸いながら通り過ぎていく。
20年以上前のかつての自分が其処に居て、20年以上も経ってからようやく過ぎて行った。

高い靴音だけが先へ先へと行く。
かすかに泡立つ肌、風が吹けば身をすくめる。
煙草を取出し、火をつけて。
陰ったままの空を見上げて、電信柱にぶつかりそうになる。

少しだけの格好もつけられないと可笑しくなってきて。
恥ずかしさを誤魔化しながら歩いていく。

やがて辿り着く三叉路にて。
高い靴音は止まってしまった。




 

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